「家族が増える」「転勤になった」「相続をした」など、家を売る理由は人それぞれ違います。しかしどんな事情にせよ、家を早く・高く売るために「気を付けるべきこと」「すべきこと」は共通しています。それは次の2つです。
①家の査定は「不動産一括査定サービス」を利用すること
②不動産を選ぶポイントを正しく知っておくこと(どの不動産を選ぶかで、家を売る期間・金額が決まる)
その理由を理解して頂くために、まずは家(マンション)を売却する流れからご説明していきます。流れに沿って、行うべき手続きや準備が必要な書類も記載していますので、このページをブックマークしておくとスムーズに売却活動が行えると思います。
+目次
分譲マンションを売却する時、最初に行うことは査定になります。査定とは、「大体この程度の価格であなたのマンションを売れますよ」という売却目安金額を不動産会社に提示してもらうことです。
これを元に、インターネットやチラシなどに表示する「売り出し価格」を決めます。査定を行う方法は様々ですが、最も良い方法は「一括査定サイト」で査定を行う事です(詳細は後述します)。
さて、本題の査定の流れですが、まずは「机上査定」を行います。机上査定とは、あなたのマンションと同じようなマンションで「最近」「近所」で成約したマンション価格を参考に、実物を見る前に机上で算出する査定のことです。
その後に、実際に部屋を見て査定をする「実査定」を行い、正式なマンション査定価格を算出するという流れになります。よほど大きな傷や汚れ、想定以上の騒音・眺望阻害などがなければ机上査定と実査定の価格差はほとんどないことが多いです。
机上査定は依頼してから1~2営業日後には出ます。それから不動産会社と予定を合わせて実査定を行います。実査定は机上査定からあまり日を空けない方が正確な数字が出ますので、机上査定後はなるべく早く実査定に移りましょう。
①一括査定サイトで査定依頼する
②机上査定の結果を電話やメールでもらう
③実査定の日にちを調整して、正式な査定額を算出してもらう
不動産の謄本(正確な㎡数や建物の構造の記載があればOK)
・机上査定の結果が出るまでに1~2営業日
・実査定が完了するまでに1社あたり1時間~2時間
自分のマンションを売却してくれる不動産会社は慎重に選ぶ必要があります。不動産は1,000万円単位の高額な商品であるため、不動産会社によって100万円以上売却額に差が出る事も少なくないからです。
優良な不動産会社を選ぶポイントは以下の通りです。
・査定額の算出根拠が明確かどうか
・直近で周辺物件を成約した実績があるかどうか
・丁寧、正確、素早い応対ができる営業マンかどうか
・建物、ローン、エリアの知識がある営業マンかどうか
「査定額が高い」という理由だけで、仲介を依頼する不動産会社を決めてはいけません。査定額が高いという点よりも、「査定額の算出根拠が明確かどうか」に注目する必要があります。
不動産会社が提示した査定額は、周辺物件の成約事例を基に算出しています。その不動産会社が実際に直近で成約した事例があれば、「生」のデータを持っているので根拠としては強いです。
また、実際に売却するのは営業マンなので、営業マンの力量も大切です。丁寧、正確、素早い応対はもちろん、知識も豊富である必要があります。マンションの売却には建物・ローン・エリアなど多岐に渡る知識が必要です。査定額を提示される時に、色々な質問をしてみて営業マンの知識量と応対力をチェックしましょう。
不動産選びの注意点はこちらもチェックしてください。
査定を不動産会社から提示されたら査定価格をヒアリングし、売却を依頼する不動産会社を選びます。1社のみに売却を依頼する場合には「専任媒介契約(以下、「専任」)」か「専属専任媒介契約(以下、専属専任)」を結びます。複数社に売却を依頼する場合には「一般媒介(以下、「一般」)」を結びます。
どの種類の媒介契約がベストかというと、専任か専属専任のどちらかが良いでしょう。理由は、一般に比べて不動産会社側もマンションを売却する際に経費と人員を投下できるからです。それ故、専任か専属専任の方が、早く高く売れることが多いです。
媒介契約は実査定の当日に結ぶ事もありますし、実査定が終わった後数日経って結ぶこともあります。媒介契約を結んでから売却活動に入りますので、媒介契約は早めに締結しましょう。
①実査定額と今後の売り出し価格の合意
②媒介契約書を締結
印鑑(不動産会社によっては実印)
媒介契約書の説明に1時間前後
媒介契約を結んだら、いよいよマンション売却活動に移ります。不動産会社によりますが、インターネットや、既存顧客へのDM、周辺の集合住宅へチラシをポスティングすることで広告活動をすることが多いです。その広告によってマンション見学の問い合わせが来ますので、不動産会社は見学者と売主の日程を調整します。
多い時には土日で数件の予約が入る場合もありますので、マンション売却中は不特定多数の人が家を出入することは理解しておきましょう。見学者が実際に部屋を見る時間は10数分程度ですが、貴重品や高価なモノはセキュリティのしっかりしている場所へ保管しておくと良いです。
売却活動期間は物件によってマチマチです。1~2か月で購入者が現れる場合もありますし、1年以上時間がかかる場合もあります。目安としては3か月と思っておき、3か月を過ぎた時は価格を下げるなり、対応が必要になると認識しておきましょう。
①チラシ作成やインターネットなどで広告活動を行う
②見学希望者との見学日程の調整
③実際に部屋を見せて物件の説明をする
・購入時のパンフレット不動産の謄本
・購入時の間取り図
・購入時の重要事項説明書
・管理規約集
※上記はマストではないが、あったほうが案内はしやすい
・部屋の案内は1件につき30分~1時間
・売却活動全体は3ヵ月前後(物件による)
中古マンションの購入検討者が現れ、価格や引渡時期の交渉が終われば申込・契約に移ります。まず購入希望者に申込を行ってもらい、その1週間以内にマンション売買契約を行うことが多いです。申込から契約までの期間に5~10%程度の手付金を振り込んでもらい、売買契約書を締結します。
契約書の締結から1ヵ月~2か月程度で自宅マンションの引渡となりますので、諸々の手続きをこの期間で行わなければいけません。勿論、次に住む場所や引越しの手続きも終わらせておきましょう。他には、ローンがあれば銀行へローンの返済スケジュールと抵当権抹消のための書類手続きなどが必要になります。これは本人しか出来ず、ほとんどの金融機関は平日しか開いていないので平日に1~2時間ほど時間を空けておかなければいけません。
そして、引渡当日に購入者から物件価格の振り込みをしてもらい、正式にマンションの引渡を行います。購入者のほとんどがローンを組んで購入しますので、引渡日も銀行が営業している平日になることが多いです。その際にも1~2時間程度の時間がかかりますので空けておく必要があります(場合よっては親族で代理することも可能です)。
①購入検討者の資金確定(住宅ローンなら住宅ローンの承認)
②売却金額や引渡時期の合意
③申込書の提出
④申込者からの手付金入金
⑤売買契約書の締結
⑥引渡約定日までに物件の引渡
・不動産の謄本
・本人確認書類
・実印
・印鑑証明書
・住宅ローン審査は1営業日~1週間程度
・申込~契約まで1週間程度
・契約~引渡まで1ヵ月~2か月
住宅ローンが残っている場合には、前項で申し上げたように銀行で様々な手続きが必要です。その詳細をお話します。
良くある質問としては「ローンが残っているのに契約は締結できるの?」という質問です。結論は「出来ます」が残債と売却金額を良く確認しましょう。当然、「住宅ローンが完済できる」という前提でマンションを売却する必要があります。ローンを完済できないまま契約をしてしまうと、結局引渡が出来ない(抵当権※が付保されたままのため)ので、契約違反となってしまいます。それ故、売却金額で住宅ローンを全額返済出来るかの確認は必ず行うようにしましょう。
引渡前に金融機関と「いつ」完済するかを話し合います。流れとしては、引渡日当日に購入者からお金が振り込まれますので、そのお金でそのまま返済するという流れです。そして、その返済をもって司法書士が抵当権抹消手続きをした後に、所有権を購入者へ移します。
大まかな流れは以上になります。この流れの中で特に把握しておかなければいけない事は、それぞれのスケジュール感と、自らやらなければいけないことは何か?についてです。特に、売却活動の際に発生する「見学者とのスケジュール調整」と、引渡時に作らなければいけない「平日の時間」は会社などの都合もありますので前持って準備をしておく必要があるでしょう。
※抵当権とは銀行がお金を貸す担保としてマンションに付保する権利です。この抵当権を抹消できないと物件の引渡が出来ません。
住宅ローンの完済手続き
・不動産の謄本
・本人各書類
・実印
・印鑑証明書
金融機関での完済手続きは1時間~2時間
分譲マンションの売却の流れを理解したら、さっそくマイホームの査定を行いましょう。前述の通り、マンションの売却は査定から始まります。逆を言えば、査定を行わなければ何も始まらないのです。住み替えの場合などは特に、2重ローンが発生するリスクがあるため、1日でも早く売却を始める方が良いと思います。
もちろん高く売れるまでタイミングを見計らうつもりなら、すぐに取り掛かる必要はありませんが、その場合でも現時点でのマイホームの評価(査定額)を知っておくことは大切です。なぜなら、基準値がなければいつが売り時かの判断がつきにくいからです。
売却するかどうか迷っている方は、マイホームがどの程度の金額で売れるのかを査定で知ることも出来ます。 査定を行ったからといってすぐに売却活動を始める必要はありませんので、その辺りは安心して大丈夫です。
中古マンションの売却の流れを把握したところでアドバイスと注意点です。
「1-1.マイホームの査定」で申し上げたように、査定を依頼する場合には不動産一括査定サービスがベストです。このサービスは一度物件情報を入力するだけで複数の不動産会社に査定を依頼できるサービスになります。手間が省けますし、ほぼ同時期に査定結果をもらえるので、不動産会社ごとの査定額を比較しやすいことが特徴です。
査定額は不動産会社によって違い、その査定額の違いこそが不動産会社を選ぶ根拠になります。「査定額が高いから」という理由で選ぶのではなく、「査定額の根拠がしっかりしているから」という理由で選ぶべきです。そのためには1社ではなく複数の不動産会社に査定を依頼し、且つ同時期に比較をする必要があります。それ故、不動産査定一括サイトがベストなのです。
また、その中でもイエウールというサービスがおススメです。イエウールは会員数や不動産会社登録数がトップクラスの数字を誇り、サイトの内容自体も売却に伴う基礎的なQ&Aが充実しているからです。会員数が多いと言う事はそれだけ利用者に支持されており、不動産会社の登録数が多いということは自分に合った不動産会社に出会いやすいということです。
自分に合った不動産会社と出会えれば、より早く・高くマンションを売れる可能性が高まります。そのためには、一括査定は絶対に欠かせない手順の1つなのです。
中古マンションの購入検討者は、ほぼ全員「マンション価格の値交渉」をしてきます。そのため、売主側も査定額より少し高めに売り出し価格を設定している場合が多いです。例えば2,700万円の査定額であれば2,890万円の売り出し価格に設定し、値引き幅を持っておくことが多いです。勿論、値引きせずにそのまま売却出来れば良いですが、自分の中で落としどころを持っておく必要はあります。
例えば、「2,800万円であれば即OKを出すので、自分の許可なく交渉をして良い」と不動産会社に事前に話をしておきましょう。そうすれば不動産会社は購入検討者との駆け引きもしやすくなり、値交渉がしやすいです。
不動産会社が売り主である私たちに確認することなくある程度まで勝手に交渉を行ってくれれば、双方に確認を取る時間が省ける分、早くにマンションを売ることが出来ます。また買主に即決させることで、他のマンションと比較される機会が減る分、高く売れる可能性も秘めています。
事前に不動産会社と「最悪○○万円までなら値引きは許容する」という取り決めをしておかないと、不動産会社も接客過程で交渉がしにくいです。従って、売却活動を始める前に不動産会社と価格については良く話をしておきましょう。
マンションの売却を始める前に大まかな流れと簡単な注意点を把握できたと思います。
マンションを売却する上で最も大切なことは、不動産一括査定サービス(イエウール)を利用し、複数社から査定を貰ってその中から自分にとってベストな不動産会社を選ぶことです。
マンション売却を考え始めたら、まずマンション売却の全体の流れを把握し、良い不動産会社を見つける下準備をしておきましょう。
査定~引渡までのスケジュールは、マンションにもよりますが大体半年程度と考えておくと良いでしょう。もし、スケジュール的に余裕があったり、逆にもっと早く売る必要があったりする場合には価格設定や値交渉などが大きく変わってきますので、必ず不動産会社に伝えておきましょう。